柏の地で育てていただいた私は、本年五十八歳を迎えました。少年期の想い出の
中で忘れられないのは、近隣の空き地などで毎日暗くなるまで野球もどきの三角
ベースに夢中になったことです。そして、キャッチボールをしていたとき、誉め
てくれたのは小学五年の担任だった寺島(現・成島) 先生でした。それが私が野球
に興味を深く抱いた始まりです。
中学時代、丸刈り頭で柏中野球部に入部した時の記憶は、今でも鮮明に残ってい
ます。三橋先生、中井先生、太田先生ら、野球部の監督や野球の大好きな先生方
に応援されながら、私の野球の原点がそこに生まれたのです。
その野球部の練習にのめり込むことから、私の野球人生は始まり、高校、大学、
プロ球団へと進み、絶頂期を経て、やがて苦闘の日々を経験することになりまし
た。絶望的な故障からの復活も、私に決して諦めてはいけない生き方を教えてく
れました。本当に多くの師たる人たちと多くのファンの方々に支えられたからこ
そ、今日まで歩んで参れたと思います。
野球を愛し、野球の素晴らしさを様々な人と共有するために、プロ野球の解説・
評論を仕事としながら、社会人野球球団『西多摩倶楽部』の監督もつとめ、アマ
チュア野球とプロ野球のささやかな架け橋の一つを作ろうと願ってもきました。
それは近年の野球界では、あまり省みられていない活動ですが、それだからこそ
誰かが行わなければならないという思いによるものです。
そこで、特定非営利活動法人『谷沢野球コミュニティ千葉』の設立を数人の知人
に提案したところ、強い支持を得ることができ、さっそく、西多摩倶楽部の公式
戦の終了を待って、9月22日から公に法人設立のための活動を開始することにな
りました。
『谷沢野球コミュニティ千葉』は、野球を中心に、野球型競技、将来的にはスポ
ーツ全般にわたって、愛好者から優れたアスリートまで、多くの人たちの参加を
目指すものです。微力な私の想いを了とせられ、皆様のご参加とご協力を衷心か
ら願うものであります。
2005年9月 谷沢 健一